鏡と写真が苦手だった話

幼少期の頃はなんでもなかったのですが、ある程度成長した子供の頃には気がついたらカメラを向けられるのが嫌で撮影される事から逃げていて、その影響で幼少期以外で子供の頃から大人になって30才に至るまでの数十年間、自分の写真が殆どありません。

自分の顔や外見が嫌いで、それが写真という形で半永久的に残る事がとにかく嫌で、強制的に撮られる集合写真も映らないように顔を伏せたり人の後ろに隠れたりと、こっそり避けていました。

鏡も似たような理由で、昔から見ている顔なので慣れてはいるものの、鏡を見る度に「知らない男の顔が写っている」という感覚を覚える程度には自分の顔が馴染めなくて、まともに直視する事が出来ませんでした。

今考えると心は女なのに鏡に映る姿は男だからそのギャップが嫌だったのかなと思います。写真も多分似たような理由だと思います。

自分の顔を直視しないといけない場面ではとにかくしんどくて、証明写真に関してはただでさえ写真撮られたくない上に顔のアップという二重に嫌で、とてつもないモヤモヤを抱えたまま証明写真を撮っていました。


女性ホルモンを服用してから3ヶ月ぐらい経過した時。ふと、女性ホルモンを服用した事における顔や外見の変化を撮影しておいた方がいいんじゃないのかと思い、あまり見たくはないものの自撮りを始める事にしました。

大体1ヶ月おきに撮影しているので、回数自体は多くないものの最初のうちは自分で初めた事とはいえ嫌々撮影していたましたが、外見が変わってきて徐々に女性的になってくると自撮りに対する抵抗感も減ってきて、今では割とそこまで抵抗なく自撮りが撮れるようになりました。

一番心境の変化を感じたのは、たまたまオシャレを意識した格好をした時に親に写真撮られたのですが、今までだったら必死に避けていたのにその時はすんなりと撮影に応じられたんですよね。

親にも驚かれたし、自分でも撮影された後に「意外と大丈夫になっているんだな」と実感しました。

これまた鏡も似たような理由で、最初のうちはあまり鏡を直視出来なかったのですが、顔と外見の女性化が進むとこちらも徐々に鏡を見ることによる抵抗感が薄れてきて、今では普通に鏡を見ることが出来ましたし、出かける前とか変な部分がないか鏡を見たりと積極性が出てきました。

パス度だとかそういう部分を考えるとまだまだクオリティは低いのですが、少なくとも男の部分が減ってきて女性的な顔つきになってきているのが自分にとっては思っている以上に嬉しい変化なんだなと実感します。

これからまだ変化があるのかと思うと自撮りするのが少し楽しみになりました。